「リフレーミング」という言葉に興味を惹かれた方はおそらく、自己研鑽をしたい、大切な人を支えたい、部下や生徒を良い方向へ導きたいといった、自分を「変えたい」という、想いをお持ちの方々が多いのではないでしょうか。
リフレーミングの技法を修得すると、 あなたの思考を狭め、歪めている心の「フレーム(枠組み)」を自分自身で認識し、より良いアクションを取ることが出来る様になります。
そしてリフレーミングの意味を知り、実践していくことで、人生における多くの問題や悩みを自分で解決することが出来る様になります。
リフレーミングとは
私たちは無意識のうちに、自分に降りかかった出来事や、生じた認知、感情の解釈を「枠(フレーム)」の中に当てはめています。もっと簡単に言いかえると、「思い込み」です。
- 壁を越えられない…「自分には経験がないからこの仕事に向いていない」
- 苦手な上司…「この人はきっと自分の事が嫌いだからきつく接してくる」
- 同僚が落ち込んでいる…「プレゼンで話しすぎてしまって、失敗した」
- 自分に自信がない…「失敗するのが怖くて諦めてしまう」
このような考え方自体は決して珍しいものではないはずです。よほどの楽天家でない限り、一度は頭をよぎったことがあるのではないでしょうか。
リフレーミングとは、これらの「思い込み」=「フレーム」を外して、別のフレームに再度当てはめるという思考法です。
それでは、上記の例をそれぞれ「リフレーミング」してみます。
- 「今はあくまで経験がないだけだ。経験さえ積めば自分にも絶対できるようになる」
- 「この人は誰に対しても口調がきつい。取りたてて深刻に考えることじゃない」
- 「原因も対策もすでに分かっているじゃないか。じゃあ、そこさえ注意すれば、次は完璧なプレゼンに仕上がる」
- 「失敗をしない人がいないのは当たり前のことだ。むしろこの失敗は自分の糧にできるし、ステップアップできるチャンスだ」
これが「リフレーミング」です。同じ出来事、同じ結果を、自分自身が解釈を変えることで、自らにとって良い出来事、良い結果に感じられるフレーミングへと当てはめ直すという、思考のすりかえです。
あなたがストレスを感じたり、上手くいかなかった出来事に遭遇した時、まずはあなたの「フレーム」を意識することで、自分を自分でがんじがらめに縛っている悩みの原因に気づくことができます。そしてそのフレームを一旦外し、別のフレームへと当てはめ直すことで、自分がより良い方向へ進むための気づきと選択肢を広げることができます。
また、悩みだけではなく、自分が伸び悩んでいるときにも「フレーム」が邪魔をしている可能性があります。そのフレームをすりかえることで、滞っていた成長に活路を見出すことができるでしょう。
リフレーミングはどんな時、どんな人に有効か
①自己研鑽したいビジネスパーソン
リフレーミングは「成功者のメンタリティ」と呼ばれることもあります。リフレーミングによってあなたは、あなた自身が本来持っている器の大きさや、あなたの内側に秘められた可能性に気づくことができます。そして、成功する人は必ず実践している、挑戦し、失敗しては、再び挑むというその繰り返しを厭わない、言わば「成功体質」になることで、あなたはより高みへと羽ばたくことができるでしょう。
②部下を指導、教育するマネジメント層
職場で確かな実績を積み、管理職への道を歩んでいる人もいらっしゃるでしょう。管理職は部下を育成することも自身の重要な業務になってきます。部下に対してどう接することで、部下が最速で成長していくかを考え、それを日々実行することもあなたのミッションです。自分がフレームを持っているのと同じように、部下もフレームを持っています。それらを勘案しながら部下の指導、教育を行うことで、チーム全体がより活性化するはずです。
③恋人や友人、家族に対して
ビジネス心理学の一環として広まったリフレーミングではありますが、プライベートで応用することもできます。落ち込んでいる大事な人を励まし、奮い立たせ、これからも頑張ろうと自ら思えるように働きかける能力は、あなたの人間力を高めるスキルであるといえます。
④挫折してしまったとき、勇気が出ないとき、逃げてしまう自分を変えたいとき
仕事に失敗はつきものです。「打たれ弱い」、「繊細である」というフレームを自分に対して持っている人は、ささいなミスを指摘されたり、修正の指示を受けたりすることだけで傷つき、落ち込んでしまいがちです。そのような人にリフレーミングは特に有効です。生きづらいと感じていたあなたの世界には、リフレーミングの実践によってきっと光が射すことでしょう。
どうやってフレームを変えるのか
鋭い方は、ここまで読んだ時点でお気づきかもしれません。「心配性である」ことは「慎重である」ことと同義です。「自分の意見を主張できない」ことは、「和を尊重する」ということと同義です。「おおざっぱ」なことは、「細かいことにとらわれない」ことと同義です。
リフレーミングの手順として、日常で自分が遭遇する出来事のひとつひとつに対して、まず「フレーム」を意識するようにします。そしてそのフレームが自分にとって悩みの種になりそうだと気づくことができたら、次はその出来事を自分にとって「快」であり「楽」であり「幸」であるようにリフレーミングしていきます。この気づきと実践をひたすら繰り返していくことによって、あなたの考え方や捉え方、感情の動きや行動は、「パブロフの犬」と同じく条件反射的に、「あなたにとってより良いフレーム」を選択していくようになるのです。
まとめ
リフレーミングとは、 自分自身の思考を狭め、歪めている心の「フレーム(枠組み)」を一旦取り外し、自分自身にとって有益になる別のフレームへ当てはめる思考法です。
リフレーミングを実践することによって、自分自身を悩ませたり、成功の妨げになったりするものから自らを解き放ち、可能性を広げる選択肢が生まれます。
そしてリフレーミングは、自分を高めたいビジネスパーソンから、悩みを持っている方、部下や後輩、学生などを指導する方、プライベートで誰かの力になりたい方まで、幅広く役立てることができます。
リフレーミングは、意識的なその実践を継続することによって、身につけることができます。
この記事を読んで「今すぐにでもやってみたくなった!」という人はもうすでに、あなたが自ら変わる、はじめの一歩を踏み出しています。
先ずは、日常で遭遇する出来事のひとつひとつに対して、自分自身がどの様な「フレーム」を持っているのかを意識するところから始めていきましょう!